tome VIII - AAC50年の歩み 3


 

座談会「AACの50年をふりかえる」(2)

平成8年9月7日


page 3/3 〜山岳部のあるべき姿〜


ー山岳部の現状と山岳部のあり方についてお願いいたします。

藤森 合宿以外山にいってないってのも驚いたね。まあ合宿が義務的だったってわけじゃないけどそれはそれで全員参加で、それ以外に仲間うちで行きたいときにほぼ毎月登りに行ったけどね。淡々と合宿だけこなしてるのが今の若い人だとしたら、何か寂しいよな。山が好きで入ったんだから山に行きたいって思わないのかな。年に10日間くらいしか山に入っていないって本当に好きで行ってるのかな。


小沢 徹

梅村 入部する頃には一応山好きの「芽」みたいのがあるんですけど、それが育っていくサイクルみたいなものが一度壊れてしまったんですかね。

金沢 入部してから山が嫌いになってしまうってこと?


金沢大介

鈴木 仲間が少ないっていうのは関係あるのかな?

南谷 人が少なくて運営がつらいってのはあるとおもいますよ。

高坂 ある程度人数があれば自分がどこに行きたいってのが芽生えてきたとき、一緒に行こうって奴がいればそいつと一緒に行けるけど、もともと四人とか五人しかいないと、顔合わすといつも話すことも考えることも同じで、好みがあう奴もでてこない。そうすると一人で行くしかない。一人で行く気にはならないよな。

南谷 それに、中学一年生、二年生の頃からどこに行きたいかなんてけっこう考えにくい。そういう意識が出てくるのは高校ぐらいからですよね。そうなると今の人数構成、三人だと難しいですよね。

藤森 まあ、これは山岳部のあり方というか組織のあり方というか…。僕の頃はリーダーが三品で、彼は山岳部を組織として、たとえば新人の育成であったり、技術向上であったり、組織の運営としてどうあるべきかって考えてたと思うんだよね。まあ実際どうだったのかは分からないけど。逆に僕なんかは山は原点だから、好きな奴と好きなとこに行ければいいんじゃないかって思ってた。これはたぶんどっちがいいとかじゃなくて、バランスだと思うんだよね。組織的にこうなければならないってやってたら息が詰まってくるだろうし、なんとなく面白くない。逆に、組織的なものがなければ、部じゃなくて友人とか家族とかと登っていればいいし。部として学校の中に入れることも大切だし、原点として好きな山に好きな奴と登るってのも大切だし。

南谷 どうすればいいんですかね。

藤森 どうすればいいんだろうね。やっぱりみんなが言ってるように、ある程度の人数がないとね。組織にもならないし仲間も作りにくい。でも、義務とか合宿の消化じゃ面白くないから、まず好きで山に登るっていう原点に戻って欲しいね。

高坂 「山岳部のあり方」ってのは好むと好まざると、「山のあり方」ってのを反映しているって面があるんですよ。たとえば山岳部が最も栄えた森さんよりも少し上の代ってのは、ちょうど山の世界も、ヒマラヤ遠征とかがはやってた時期なんですよ。その中で麻布山岳部ってのは当時主流だった大学の山岳部の予備校的なことをやってたわけでしょ。それはそれで明確だったから人もいたし活気もあったけど、今じゃそういうのが主流じゃなくなってるわけでしょ。それにも関わらずそのまんまのスタイルでやろうとすると、時代を反映してないんですよ。それじゃ無理だよって気がしますよ。今、山登り自体が細分化してるでしょ。かつての遠征とかは日本山岳会系のクラブしかやってないでしょ。社会人は社会人でアルパインスタイルとか、一方ではフリークライミングとか。その中で、麻布の山岳部が主流から離れてむかし通りのスタイルを守ろうってのは…。

 もう無理だね。

鈴木 僕が思う山岳部のいい姿っていうのは、現役がまあ、ある程度の人数がいる。それから先生がいて、OBがいるっていう。この三者の協力なんだよね。常に気軽に話し合って。たとえば僕らの頃でいえば年に二回総会やってたんだよね。0B会は事務機能が整備されてなかったから、現役たちで通知を作って出してたんだよ。そのころ学校の先生は部活にいっさい来てなかったから総会にも出てなかったけど。遭難以降は現役とOB会と先生の体制が非常にうまくいったんだよね。その三者の協力体制が山岳部のあるべき姿だと思うね。

高坂 何でOB総会をこちらから開こうとしたんですか。別に0Bの方から指示があったわけじゃないんでしよ。

鈴木 まあ、単純に上の代からやってたからっていうのが大きいと思うけど、やはり山岳部は山に登るだけじゃなくて、それをきちんと記録に残したりするのもその活動のひとつだと思ってたからね。それにレポートをみんなでインクだらけになってガリ版で作るのも結構楽しかったしね。でも、総会自体はものすごく緊張したね。リーダーが合宿報告をするんだけど、0Bからいろいろ批評されるんだよね。何であんな危険なコースをとったのかって。でも今考えてみると、その場ではリーダーに対して言ってるけど、本当は一緒について行ったOBに対してのお叱りだったのかなって。今考えるとそう思えるね。

高坂 今、そういう総会はないですからね。

鈴木 そう。だから、現役と0Bで調整しあってやっていくべきだと思うね。その現役、OB、先生の協力体制が山岳部のよさなんだから。だから、とにかく総会やってレポート作って、OBと現役の接点つくんなきゃ。

 やっぱり遭難から変わったよね。あそこから学校が入ってきたっていうのがいちばん変わったとこだよね。あの当時のごちゃごちゃってのは僕はよく知ってるんですよ。部の中がかなり混乱してて、かなり退廃的なものがあったんだよね。それに対して平野先生が部の仲間として一生懸命やってるってのがよく分かったんですよ。だって、あの人は山岳部とはほとんど関係なかったのに。かなり親身になって一緒にやってた。それでたぶん下手すりゃ途切れるはずだったのが今につながってると思うんですよ。先生も熱心な人がいるんだからさ、やはり我々というか現役の気持ちが分かる0Bが一緒になってなにかやらなくちゃ。現役、OBとしてじゃなく、仲間としてね。一緒に何か活動できる体制を作らないと。昔みたいなピラミッドの中での代表指導委員としてじゃなくてね。もっと中に入って行けるような。今、人のつきあいもそうなってきてるじゃない。今の現役は年に何回かしか山行ってないんでしょ。そこでやっぱり山の楽しさというか、ハメはずした人づきあいの楽しさっていうか。そういうのを若いOBと一緒に何か作っていくってのをやらなきゃダメなんだと思う。人数少ないから大変だってのもあるけど逆に三人だったら取り込みやすいじゃないですか。

高坂 でも、取り込むって言っても、つまり一緒に山に行くってことでしょ。ただOBになっても山やってる奴がいないんですよ。だからまずここでつまずくんですよ。

 行きましょうよ。つまずくって言ってないでまず行きましょうよ。僕らに何ができるか分からないけど彼らが面白いって思うようなことを企画して、一緒に参加してもらうってことかな。ただ彼らが何を求めているかが分からないんで若いOBにその辺は期待してるんですけどね。

高坂 山は行くしかないってのがあるからね。そうしないと次にどこに行きたいってのも見えてこないし。まずやっぱり行って…。

南谷 その辺を高坂さんのあたりから、たとえばフリークライミングに連れていくとか。


南谷達郎

高坂 それはやっちやいけないって言われてるからな。

金沢 あれは疫病みたいなものだから。猿みたいにそればっかやるようになっちゃうから。(笑)

小沢 僕は、今の部の現状も、まあこれもひとつの流れかなって思いますね。我々がやってきたことを踏襲しても面白くないし自分で何か見つければいいし、いいと思ったことは受け継げばいいし。ただ、僕の場合、勝手にやったり真似したり、尻叩かれたりして、いろいろやって、そういうのを全体で、今思えば楽しかったなって思うんですよね。だから今、山に行くのが10日間だとしたら、それ以外の355日も山岳部で活動してくんだから、まあトレーニングするのもよし、また、もっと文化的に本読んで啓蒙されるのもよし、いろんなことに首つっこんで、自分の山の楽しみを見つけて、まあ、今はいないけど、自分の後輩に伝えていって欲しいね。そうすれば山岳部はいままで通り続いて行くんじゃないかって思いますね。

金沢 僕はもう少し現役の人たちに元気を出して欲しいですね。自分のできる範囲でやるのは楽ではあるけれど、それ以上に得るものは何もない。自分にはちょっときついということをやり遂げることで、多くのものを得るというか、成長できる。その、もっときついことをやるような元気を出して欲しい。そういう自分との競争をやって行くのが山岳部の他の部と違う特性だと思うんだけど。そこんとこ頑張って欲しい。それをやって行くにあたって、三人しかいないけど、まあ、仲間はそれだけじやないって認識しておいてください。僕らがいますから。一緒に山に行く仲間は現役だけじゃなくて僕らもいますから。

高坂 本当だな。


金沢 本当です。まあ、できる限りのことはやりますから。

高坂 できる限りってのが怪しいとこだな。(笑)

南谷 今の現役ってのは学年が断続的になっちゃって、上からあまり受け継いでいないから、その辺が不幸だなっていちばん思いますね。僕らはまず先輩に山に連れてってもらう中で山の楽しさを知るってのがあったと思うんですね。それをここ数年の現役は味わえないのはかわいそうだなって思うんで、そこの所をOBの方でやっていってあげるべきなのかな。よけいなお世話なのかもしれないけど山岳部につぶれて欲しくないですからね。

梅村 今はとにかく、どこに行くとか、どういう山行をするとか、そういうレベルの問題じゃなくて山に行くということ自体ができにくい状態なんで。だから今はとにかく無責任なやり方でもいいから、とにかく山に数行って、何か味をしめる経験をして、かつそれを継続的にやるというこの二点だけを何も考えずにやればいいと思います。今は問題がでてくる材料すらないんで、問題がでてくるようなくらい好き勝手にやってくれれば、こちらからもそれに対してどうすればいいのかって話になって相互作用が生まれるんで。まあ、気の長い話ですが、何か行動を起こして欲しいと思います。

ー本日はどうもありがとうございました。



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page 3. [part II] 山岳部のあるべき姿



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