tome VII - 合宿報告3


 

南アルプス全山縦走

-昭和58年度夏季合宿-
大塚 進



page 1/3 [合宿概要]

計画と準備

高二は二人だけで高一がいなかったので、他の学年のレベルを気にしない好きな合宿、中三はリーダー学年を経験し、7泊以上の長い合宿、中二・中一は登山経験の基礎を築くレベルの高い合宿、をそれぞれ行うことを、基本方針とした。

高二の間で夏合宿は何か凄い大縦走をやりたい、という話が真剣に持ち出されたのは4月の新学期が始まってからであった。そこで大縦走が可能な山域、ということで北アルプス・南アルプスに絞られたが、北アルプスより3000メートル以上の山々を多く連ね、山が深く、静かな南アルプスに決定された。


どうせ大縦走をするなら、ということで、南アルプス全山縦走が一案として挙がった。しかし、毎日行動しても12泊を必要とし、いくら何でも無理があったので決めかねていた。そこに、高二は甲斐駒から三伏峠まで縦走して中学生と三伏峠で合流し、中学生が塩見岳をアタックした後に、中一・中二は下山し、高二・中三は茶臼岳まで縦走する、という案が5月にひらめいた。これで高二は12泊の合宿になるが、途中でサポートが入るので、6泊の合宿を続けて二回行なう、という見方をすれば十分可能な域に入ったのであった。しかも、前述の基本方針は一応全て満たしていた。こうして途中でサポートが入るならば、ということで、南アルプス全山縦走プランは6月上旬、めでたくOB会から認可された。代表指導委員であった三品先輩と話し合い、三伏峠と茶臼岳の間は初め予備日一日であったが、エスケープが困難なこと、光岳も登れる、ということで、茶臼からの光岳アタックの行動スペアを加えて予備日を二日にした。これで無理と考えられていた光岳まで登ることが可能となった。

台風10号が大暴れをした翌年だったので、交通機関と登山道の状態が非常に悪いことが予想された。そこで、まずそれから問い合わせた。幸い稜線上は倒木が少し多いぐらいで特に問題のないことがわかった。しかし、沢筋の登山道と林道はまだ復旧していない所が多かった。準備期間中に戸台から北沢峠までバスが運転されていることがわかったので、夜行で行って戸台から北沢峠まで歩く予定を変更し、朝出発して、バスで北沢峠まで入ることにした。

各係は軽量化の極限に挑戦し、準備期間である試験休み中はトレーニングを重ね、準備は順調に進み、梅雨明けの声を聞く前に出発する我々であった。

目的

中一・中二

  • 夏山での生活技術の体得
  • 塩見岳の登頂

中三

  • リーダー学年を経験する
  • リーダー学年としてのリーダーシップ、メンバーシップの養成
  • 南アルプス南部縦走

高二

  • 南アルプス全山縦走

期日

  • 昭和58(1983)年7月22日-8月4日

隊員

  • CL 石井秀行(高二)食料・気象・コース・医療
  • SL 大塚進(高二)装備・会計・記録
  • 金沢大介(中三)気象・装備
  • 小田健一(中三)装備・コース
  • 小沢雅男(中三)食料
  • 岩崎裕介(中三)記録・食料・医療
  • 山中康成(中二)食料
  • 並木俊雄(中一)
  • 岩城達之助(OB)
  • 中村仁(OB)
  • 増子寛(部長)
  • 野本勇(部長)

隊の編成

  • A隊 L石井 SL大塚 OB岩城 増子先生
  • B隊 L金沢 SL小田 小沢 岩崎 山中 並木 OB中村 野本先生
  • 本隊 L石井 SL大塚 金沢 小田 小沢 岩崎 OB中村 増子先生
  • 下山隊 山中 並木 OB岩城 野本先生
  • 在京連絡所 今西規(高三)


行動表



食料

<基本方針>

  • 徹底した軽量化をし,携行食料からあらゆる水分をカットする。
  • 食品のカロリーを計算し,行動日の場合は,1日で2,000カロリー,停滞日及び予備日の場合は1日で1,500カロリーとした。(本には登山の場合,1日3,000カロリーが必要と書いてあったが,過去の合宿の食料を調べてみると,1,500-2,000カロリーであったので,これでも十分行動できると思い,余分な食料をけずった。)
  • 昼めしは,研究に研究を重ね,軽くてハイカロリーな,効率のよい食品を選ぶ。(結局,その食品としては,赤ん坊が食べる食品があてはまることがわかった。)
  • 不評の棒ラーメンを,非常にコンパクトなので敢て使う。しかし,食料係の特別な計らいで,毎日違う味が楽しめるようにした。

<食料運行表>

  • A隊

22日 23日 24日 25日 26日 27日 S(28日)
B - ラーメン
(マルタイ味)
ラーメン
チャーシュー入りチキン味)
お茶漬け ラーメン
(九州味)
ラーメン
(野菜入りしょうゆ味)
ラーメン
(マルタイ味)
L 弁当 D C2 B A C1 E
D クリーム
シチュー
五目飯 すきやき カレー すし太郎 ※カツ丼 ビーフ
シチュー
備考 →北沢峠 甲斐駒
アタック
→両俣小屋 →熊の平 北岳・農鳥岳
アタック
→三伏峠 停滞

    ※ A隊は,27日の夕食用にふりかけ,つけ物を持って行き,B隊と27日に合流できなかった場合は,ふりかけ,つけ物になる。実際は合流てきたのでカツ丼となる。

  • B隊・下山隊

    B隊 下山隊
    27日 28日 29日
    B 弁当 ラーメン
    (マルタイ味)
    ラーメン
    九州味)
    L C2 B A
    D カツ丼 ビーフ
    シチュー
    -
    備考 →三伏峠 塩見岳
    アタック
    →塩川小屋

  • 本隊

    29日 30日 31日 1日 2日 3日 S1 S2
    B ラーメン
    (九州味)
    ラーメン
    (チキン味)
    ラーメン
    (野菜入り
    しょうゆ味)
    お茶漬け ラーメン
    (マルタイ味)
    ラーメン
    (チキン味)
    ラーメン
    (九州味)
    ラーメン
    (しょうゆ味)
    L D B C1 A B D E A
    D カレー 炊込み飯 クリーム
    シチュー
    すし太郎 ビーフ
    シチュー
    - ふりかけ
    つけもの
    すし太郎
    備考 →高山裏 →荒川小屋 →百間洞 →兎岳 →茶臼岳 →畑一ダム 停滞 光岳アタック

    (備考)

    • A隊で使う米はすべてα米。
    • B隊及び本隊で使う米は,すべて白米で,それはB隊が持って上る。
    • 3日までに茶臼岳に着いた場合,S2で,光岳アタックを行ってから下山。実際は2日に茶臼岳に着いたので,S2を使って光岳アタックとなる。
    • A隊の五目飯,すきやき,及び野菜,チャーシュー,つけ物はすべてジフィーズの乾燥食品。

    (昼食パターン)

    • A;ビスコ,塩せんべい,ムキミ,チーズ,蜂蜜。
    • B;グラノラバー,カンパン,チーズ,蜂蜜。
    • C1;ビスケット,塩せんべい,ウエハース,チーズ。
    • C2;マンナ,塩せんべい,ウエハース,チーズ。
    • D;カロリーメイト,カルケット,チーズ,乾燥ビーフ,蜂蜜。
    • E;ビスケット,ポップコーン,チョコ,チーズ

    (調味)

    • A隊用;粉しょうゆ1袋,塩少々,油少々,さとう300g×2,紅茶5回分,日本茶5回分,ゼリー1回分,プリン1回分,スポーツドリンク1回分。
    • B隊用;粉しょうゆ1袋,塩少々,油少々,さとう300g×4,紅茶4回分,日本茶5回分,ココア1回分,ゼリー1回分,プリン1回分,スポーツドリンク2回分。(A隊用の残りと,B隊用のほとんどが,本隊用となる。)

<反省>

    (朝食)

    • 相変わらず,棒ラーメンに対する不満が多かった。しかし,これは作り方さえ間違わなければ食えないものではないのである。朝,棒ラーメンを食べようとして吐いた者がいたがこれは「棒ラーメンはまずい」という先入観があったからに違いない。(このラーメンは確かにまずかったが・・)水が完全に沸騰してからラーメンを入れれば,食べられるラーメンになるはず。(冬・春では,水が沸騰するのに時間がかかるため,使わない方がよい。)
    • 棒ラーメンを敢て使ったのは,普通のラーメンと重量的には少し軽いだけであったが,普通のラーメンとは比べ物にならない位小さかったからである。長期に及ぶ合宿では,その体積も考慮すべきだと思う。

    (昼食)

    • 食品はすべて,軽くてハイカロリーな食品を選んだ。
    • 必然的に水分をほとんど含まない食品になり,食べづらいという声が多かったが,これは水を少し飲めば済むことなので問題ないと思う
    • このような計画は水の比較的豊富な南アルプスだからできたことであって,水の少ない北アルプスなどでは,また別の考え方が必要であろう。

    (夕食)

    • 特にA隊で,量的に少ないという声が多かった。
    • メニューをもっと多くするべき。

    (その他)

    • 食料係の抱える大きな問題に,「ゴミの少ない食料計画」というのがある。ところが実際は,食料によって出るゴミというのは極わずかなものである。ゴミの大部分は,食器を拭いたキジ紙なのである。そこで,この合宿では,食器を水で洗うことにした。実際ゴミは少なくなり,成功であった。今後も大いに実行すべきだと思う。(水の豊富な山域というのが必要条件であるが。)


装備表

  器具名 A隊 B隊 下山隊 本隊 総量




ダンロップテント 6 人用一式 1 - - 1 1
エスパース 4 人用一式 - 2 1 1 2
ツェルト 1 - - 1 1
ペグ 16 20 12 24 36
兼用スコップ 1 - - 1 1




スベア 1 2 1 2 3
石油(L) 4 7 - 7 11
石油用ポリタンク (3L) 1 1 1 1 2
石油用ポリタンク (1.5L) - 2 - 2 2
水用ポリタンク (2L) 2 4 2 4 6
ナベ - 2 1 1 2
コッヘル 2 - - 2 2


針金(5m) 1 1 1 1 2
細引 (5mmx5m) 1 1 1 1 2
たわし 1 1 1 1 2
ラジオペンチ 1 1 1 1 2
スペアパッキン 3 7 - 10 10
スペア鉛 1 1 - 2 2
スペアゴム 1 1 - 2 2
じょうご 1 1 1 1 2
ろうそく 4 8 - 5 12
メタ 20 40 - 35 60
ポリ袋・大 7 15 ゴミ12 10 22
ポリ袋・小 20 30 ゴミ30 20 50
ビニールテープ 1 1 - 2 2
ガムテープ 1 1 - 2 2
予備電池(単三) 4 4 4 4 8



ラジオ 1 1 1 1 2
医療パック 1 1 1 1 2
背負子 1 - - 1 1



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