tome VIII - 合宿報告5


 

鳳凰三山

平成2年度冬季合宿
永井 秀


page 2/2 [行動記録・気象・反省]

行動記録



12月22日(晴)

午前8時20分、JR新宿駅集合。甲府へ向かう。甲府駅よりタクシーで夜叉神峰入口に到着、昼食をとる。夜叉神峠では水が確保できないため、ここで準備しておいた1.5リットルペットボトルに水を詰める。13時40分に出発、途中一本とって15時13分に夜叉神峠小屋到着。雪はほとんどなかったが、土は固く凍っていた。

<気象> 低気圧が接近していたが、日本海側のごく一部をのぞいて天気はくずれなかった。昼過ぎに出発したため、気温も上がっており、快適だった。台風29号接近。



12月23日(晴・風強し)

4時起床のはずだったが、2つのテントのうち永井のテントにいた4人が寝坊した。梅村のテントは少し離れた位置にあったためこれに気づかず、永井テントが動きはじめたのは4時40分だった。7時12分に夜叉神峠小屋出発、途中一本とって9時48分に杖立峠に到着。このあたりから徐々に雪が増えてきた。12時51分苺平到着。朝作ってテルモスに入れておいたホットポカリスウェットを飲んで元気になる。さっさと下って13時47分に南御室小屋に到着した。ここもまだ雪が浅く、竹ペグを使うことができなかったので、綱引で周りの木に結び付けたりして天幕を設営した。

<気象> 低気圧は去り、冬型の気圧配置となった。風はつめたい。台風29号接近。





12月24日(晴・にわか雪・風強し)

4時起床。6時2分出発で7時25分に薬師岳小屋到着。ここでアイゼンを装着するが、池永のアイゼンがスムーズにつかず時間を食った。装備係の点検不足だった。7時50分に出発して8時52分に観音岳山頂で一本。地蔵岳をめざし、10時50分、地蔵岳オベリスクを目前に控える分岐につく。この時点で地蔵岳登頂は時間的・技術的に困難であると判断され、大休止。写真を撮った後引き返す。途中、観音岳山頂直下で20分ほど雪上訓練をした。ピッケルストップの練習などをしたが、高一も含めて皆初めての経験であり大いに楽しんで雪の上を転げまわっていた。時間に余裕のない普段の合宿ではなかなかできないことである。南御室小屋に帰り着いたのは15時20分。

<気象>等圧線でもわかるように、風は強かった。晴れてはいたが、雪が風で舞うため、事実上、雪の降る中を歩いていた。西の方に、次なる低気圧がやってきたのがみえる。台風29号は温帯低気圧となって東進。行動中は、ずっとすばらしい天気だった。



12月25日(晴)

4時起床、6時37分出発。行きに来た道を戻り、4本かけて11時39分夜叉神峠入口到着。合宿は終わった。

<気象>移動性高気圧と、それに続く低気圧が、はっきりと見てとれる。行動中は、ずっとすばらしい天気だった。



反省・まとめ

"無理のない計画" であることを第一に考えた今回の合宿であったが、実際、時間的・体力的には非常に余裕があり、"楽な" 合宿だったといえる。しかし、技術的な面あるいは今回の合宿で各学年が達成すべき目標からみると多くの問題が露見した合宿でもあった。まずそれぞれの仕事が係に任せきりになっており、その係以外の者がまったくその仕事をできないということである。たとえば天幕ごとに米を炊いたとき、食料係のいる天幕といない天幕とでまったく出来がちがっている。下級生はキープしかしたことがなく、炊きかたもよく知らないことが判明した。装備についても、2日目にアイゼンの不備が発覚し行動に遅れを来しているが、ほとんど個人装備といってよいアイゼンのチェックが装備係に完全に依存され使う本人のチェックがなされていないため、装備係のミスがもろに影響しているのである。3日目のアタックの帰りには背負子につけていたテルモスが滑り落ちて割れたのであるが、これもそれまで背負子を持つ人間が固定化していたために他の者が荷物をしっかり背負子に固定する方法に未熟であったためといえる。また、目的の項にあげた各学年の目標については高一・中二については達成とは言い難い。高一はリーダー学年として下級生にもっと気を配り、的確に指示を出すべきであった。

中二はリーダーの指示には速やかに従い、また指示を受けなくても仕事を見つけてこなすべきであった。中二は雪上訓練もできて雪山に慣れるという点では進歩した。が、普段いわれている天幕内の整理、パッキングなどについてはやはり今一歩であった。また、上級生の指示には速やかに従うべきだという反省もきかれた。結局、今回の合宿で部員全員についていえる反省は、"おのおのが自分のなすべきことをしっかり把握すること" であった。体力・時間に余裕があった分、以上に述べたような反省点によく注目することができたことが今回の合宿のポイントだったといえよう。(平成5年卒)



page 1. 合宿概要
page 2. 行動記録・反省


1990年度活動記録も併せてご覧下さい。



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